こちらの事例は、群馬県にあるバイクの整備・販売会社。
先代社長から、奥様である女性社長に変わったタイミングで、
初めのテコ入れとして「片づけ」に着目。
『ほんの1分で一生が変わる魔法のかたづけ術』を
お読みいただいていたことが、
スッキリ・ラボへご連絡をいただくきっかけでした。
▼『ほんの1分で一生が変わる魔法のかたづけ術』(PHP研究所)
http://03auto.biz/clk/archives/ajbcmg.html
初めてお伺いした日も、特に問題が大きそうに見えたのは、
社員の中でもリーダー的存在であるAさん。
デスクの上には、ライターと煙草の箱が十数個、
足元には空のペットボトルも山となっている状態でした。
女性特有の物腰のやわらかさが災いしてか、
「片づけなさい」という社長の指示も、母親の小言のように響いてしまい、
いっこうに社員が動き出してくれない・・・というお悩みでした。
事前打合せを兼ねたこの日のカウンセリングでは、
「午前中-片づけセミナー」+「午後-片づけ実践」で、
1日かけて社員全員参加で、片づけについて考えることに決定しました。
片づけ実践当日は、朝9時から夕方6時までを確保いただき、
午前中に片づけセミナー、午後は実際に社内の片づけをするというスケジュール。
しかし、かなり手強そうなAさんはじめ、社員のみなさんには
そのまま講義を始めてもスムーズに受け入れてもらえないのでは?いう印象でした。
デスクの散らかり方から察するに、片づけの習慣がないどころか、
片づけ自体の“必要性”を感じていない様子だったからです。
そこで、弊社がとった策は、「事前に手紙を出す」ことでした。
“1週間後、片づけ実践に伺います”という挨拶に加えて、
あることを書き記しました。
それは、“かたづけクイズ”。
【問題】
片づけられない人は、1日の大半をある行動をして過ごしています。
「さ」から始まる三文字○○○。いったい何でしょう?
正解は・・・、“さがす(探す)”。
このクイズに込めた期待は、
片づけを新たな切り口から提示し、興味を持ってもらうこと。
何よりも、まずはかたづけ士との距離を縮めることでした。
セミナーが始まり、初めは怪訝そうだった社員のみなさんでしたが、
クイズの答えを発表していただくことで、少しずつ発言が増えていきました。
場が温まってくると、片づけをするとこんなメリットがあるというトークも、
聞き入れてもらえるようになりました。
・仕事の効率が上がる
・資料を探していた時間が省ける
・書類を広げるスペースができる
・毎朝気分よく仕事を始められる
会社での日常を振り返り、片づけることには大きな意味があると、
社員が気づいた瞬間でした。
片づけの効果を理解することが、
片づけられるようになる大きな「きっかけ」なのです。
こうして、午前中のセミナーでは、
片づけに対してやる気を高めることができました。
これこそが、午後の片づけの実践がうまくできた
成功のポイントだったのです。
片づけの実践では、片づけ嫌いだったはずのAさんは、
人が変わったように物を捨てはじめました。
それを見た周りの社員も、次々に「要」「不要」の仕分けを開始。
見違えるように片づいたオフィスでみなさんに感想を尋ねると、
「これまで片づける必要性を感じていなかった。習慣がなかった」
「やり方を知らなかった」の声。
“きっかけ作り”が、いかに重要かを改めて感じさせられました。
数日後。アフターフォローの期間中、社長とお話させていただいたところ、
ライターとペットボトルの山に囲まれていたAさんも、
不要な物を捨てる習慣はしっかり持続しているとのこと。
さらに、なんだか以前より社員同士での会話が増えたそう。
片づけることによって、会社の見えない“詰まり”がとれ、
空気な流れ始めた証拠かもしれません。
なかなか社員に響かなかった女性社長の「片づけなさい」を、
かたづけ士が代弁し、その意義を伝えることで、好循環が生まれた事例でした。