今回の事例紹介は、愛知県のある設計事務所です。
オーナー社長と、その妻が経理を担当する、社員数名の設計事務所。
事務所内では、ちょくちょく持ち主不明のものが見つかります。
妻が、「これ誰の?」と事務所に響きわたる声で尋ねると、
「はーい、私のです」と、持ち主が表れるということの繰り返し。
妻は、「もっと社員の意識が高ければ」とポツリ。
ところが、妻にとって、最も厄介なのは、
社員ではなくて夫である社長なのでした。
デスクの書類の山がいまにも崩れそう・・・。
これをなんとかしなくてはと、困り果てていました。
社員の片づけに対する意識を高めるために、
1番大切なのは、お手本を示す人がいること。
社員に対して声高にクドクドとお説教しても、ちっとも片づきません。
それよりも、組織の長、つまり社長自らが片づけられるようになると、
社員にも伝播するものなのです。
そこで小松さんは、社長に対して3ヶ月のコンサルティングを実施し、
小松流の体系化された片づけ手法である「かたづけテクノロジー」に則り、
社長の毎日の片づけ目標を決めました。
手始めに、「デスク」と「書棚」にとりかかることに。
毎朝8:00~8:15の15分間、社長は山積みになっている書類を片づけます。
片づけを始める前には、小松さんにメールを送り、
「いまから始めます」と宣言してもらう。
終了時には、「終わりました」と、報告してもらう。
こうして二人三脚で始めた片づけは、無事に3ヶ月を終了。
目に見える結果としては、
・机上の書類の山がきれいさっぱりなくなった。
・あふれていた本やカタログが消え、書棚がスッキリした。
書類が片づいて、デスクにいることが気持ちよくなった社長は、
社長室にいることが多くなりました。
じっくり腰を落ち着けて仕事に取り組むことができ、
クリエイティブな作業もはかどるようになりました。
なにより、社長が始終ニコニコとしているので、
社内の雰囲気がよくなるという、見えない効果のおまけ付き!
もちろん、妻が声高に叫ぶこともすっかりなくなりました。
さらに社員に対しても、小松さんがファシリテートする片づけ勉強会を
半年間実施。
社員の片づけに対する意識は格段に高くなりました。
妻は、
・まだまだ100%ではないが、自主的に行動できるようになった
・時間に対する考え方が変わった
・物を「置く」ことの意識が変わった
と、とても喜んでいました。
出勤時間を守る、打ち合せには遅刻しない、提出物は期日を守る・・・
など、社会人としての基本的な部分へのアプローチは難しいものですが、片づけというクッションを入れて進めると、うまくいくことを実感していただけました。
最後に見えない効果をもうひとつ。
片づけを始めてから、大きな案件がポツポツと決まったそうです。
社長はまたしてもニコリ。
今回の取り組みに大きく貢献したのは、
「もっと片づけに対する社長と社員の意識を高くしたい」という妻の熱意でした。